65歳以上の高齢者に見られる老人性うつは、大きな悲しみ、虚しさなどが引き金で発生する傾向がある。
高齢になると身体が思うように動かなくなり、若い頃は難なくできたさまざまなことが難しくなっていくものだ。
少し歩いただけで息切れしたり、自宅の階段の上り下りすら大変になったりする人は多い。
自分ではまだまだ若いと思っていても、身体は嘘をつかない。
また身内の不幸やペットロス、子どもの独立などにより寂しさを感じ、老人性うつを発症する人もいる。
老人性うつの高齢者に対する介護では、接し方に気を配る必要がある。
大切なのは相手の立場を考えて、気持ちに寄り添った介護をすることだ。
一般的なうつだと長期休養によって解消するケースが多々あるが、老人性うつの場合は改善傾向が見られない人もいる。
身近に起こった不幸に加えて、身体が言うことを聞かないやるせなさなど、複数の要因が絡んでいるためである。
介護士にできることは、なるべく高齢者に身体を動かしてもらうことだ。
寝たきり生活は身体機能の低下に加えて、ストレスの要因にもなり得る。
運動不足が原因で心身が不安定になっている人にとって、運動はストレス解消、リフレッシュにつながるのだ。
高齢者のストレスを癒すためには、こまめな会話も欠かせない。
高齢になると寂しがりやになる人が多く、もともとは無口だった人がおしゃべりになるケースもある。
老人性うつを予防するには、何気ない会話が重要な意味を持つ。
これらの老人性うつに関する知識は、介護の仕事をするうえで重要なメンタルケアのポイントとなる。